モニターで見たときと印刷したときに色が違う理由とは?

今は、ご家庭で簡単に写真や画像がプリントできるようになりました。
しかし、モニターで見る画像の色と実際に印刷したものの色が違う、ということがよくあります。
それはいったいなぜでしょうか?
そこで、今回はモニターと印刷で色味が違う理由をご説明します。
家庭内で使うものならば、多少色味が違っても気にならないかもしれません。
しかし、誰かにあげたり商用に使うものだったりすると、気になる方もいるでしょう。
今回は、できるだけ色味を合わせる方法もご説明します。
興味がある方はぜひこの記事を読んで参考にしてみてくださいね。

目次

  1. なぜ、色が変わってしまうのか?
  2. 紙や照明でも色合いは異なって見える?
  3. プリンターによっても色が変わる?
  4. モニターと印刷物の色を合わせる方法とは?
  5. 打ち合わせも大切印刷業者に依頼する際は、注意書きを確認する
  6. おわりに

1.なぜ、色が変わってしまうのか?

  • デジタルカメラで写した写真を、拡大してみようとパソコンの画面に映したら色合いが異なって見えた。
  • スマートフォンで写した写真をプリントアウトしたら、色が変わってしまった。

このような経験がある方は多いと思います。
では、なぜ同じデータなのに色が変わって見えるのでしょうか?
それは、色調整の設定に秘密があるのです。
私たちの使っているパソコンやデジタルカメラ、スマートフォンはそれぞれ固有の色を持っています。
ですから、デジタルカメラのモニターに映した画像と、パソコンの画面に映した画像では微妙に色合いが異なるのですね。
さらに、プリンターも固有の色を持っています。
ですから、同じ「赤色」を映していても色合いが異なっているのです。
しかし、そんな風に色合いがすべてバラバラに表示されてしまうのでは困りますね。
そこで、CMS(カラーマネジメントシステム)というものがパソコンやデジタルカメラ、プリンターには搭載されているのです。
このCMSを調整することによって、できるだけ色合いが同じになるように調整することができます。

2.紙や照明でも色合いは異なってみえる?

しかし、色味の違いが起こる理由はそれだけではありません。
紙と照明も、色合いが異なって見える原因になります。
たとえば、同じ色でも真っ白な紙に印刷した場合とほのかに色がついた紙に印刷した場合とでは、色合いが異なって見えるのです。
また、白っぽい照明と黄色っぽい照明、さらに自然光の下では同じ色でも微妙に異なって見えるでしょう。
ですから、商用の印刷物は紙の種類や「どの光の元で見た色を基準として出力するか」も決める必要があります。

3.プリンターによっても色が変わる?

今は、家庭用プリンターもたくさんの種類があります。
家電量販店には、さまざまな値段のプリンターが売られているでしょう。
プリンターの値段は「どれだけ微妙な色合いが再現できるか」によっても変わってきます。
つまり、より実物に近い色合いを出力しようと思ったら、値段の高いプリンターが必要なのですね。
また、新しいプリンターほど色鮮やかな印刷ができます。
プリンターはパソコンよりも寿命が長いものが多いので、新しいパソコンに古いプリンターをつなげている人もいるでしょう。
その場合は、いくらCMSを調整してもプリンターの方が対応しきれないこともあります。

4.モニターと印刷物の色を合わせる方法とは?

では、モニターと印刷物の色をできるだけ合わせるにはどうしたらいのでしょうか?
この項では、その方法の一例をご紹介していきます。

4-1.カラーマネージメント測定器を使う

遠く離れた人同士が画像のやり取りをして印刷物を仕上げる場合、まずはモニターの色調を設定することが必要です。
パソコンには色調整の機能が備わっていますが、これだけでは複数のパソコンの色合いを統一するのは難しいでしょう。
そこで、モニター画像測定器を使って画像を測定し、最適化します。
この画像測定器は家庭用のものからプロ用のものまでさまざまな種類が出ていますので、用途に合わせて選んでください。
この装置を使ってまず個々のモニターの色調を統一すれば、より色合いが合わせやすくなるでしょう。

4-2.5000Kに合わせる

さて、画像測定器で色調を統一するといっても、基準がなければ統一できません。
5000Kというのは、国際的な規格として定められている印刷用評価光源の色温度です。
最も凡庸性が高く、印刷業者に印刷を依頼する際もこの5000Kが基準となることが多いでしょう。
モニターでは多少青っぽく映ることもありますが、プリントするときれいに映ります。

4-3.観察光源に合わせる

こちらは実際にその画像が撮影されたときの光源を測定し、その色温度にあわせるというやり方です。
この方法だと、より肉眼で見たときと同じような色合いで出力できます。

4-4.用紙の色に合わせる

こちらは、特殊な用紙に印刷する場合に使われる方法です。
用紙の色合いを測定して調整すると、出力した印刷物に近い色合いもものが、モニターに映し出されるでしょう。
この方法だと、「出力したら、色合いが異なってがっかり」という失敗が防げます。
ただし、用紙が変わればモニターに映る色合いとは全く違う色に出力されてしまうかもしれません。
ですから、違う色合いの用紙を複数使って出力したいという場合は、とても手間がかかる作業になります。

5.打ち合わせも大切

色合いがとても重要なものを印刷したいという場合は、打ち合わせも大切です。
色校正といって、印刷された見本を顧客が確認する作業になります。
この打ち合わせは、できるだけ顧客と業者が同じ環境で色合いを確認しなければ意味がありません。
たとえば、片方が自然光の下で見本を見ており、もう片方が蛍光灯の下で見ていたのではだめです。
できれば、印刷業者が顧客の元に行って同じ光源の下で見本を確認す売ることが理想でしょう。
しかし、双方が遠方の場合は前述したように色合いを統一したパソコンのモニターで確認したり、同じ光源の下で確認したりしてもらうなど工夫が必要です。

6.印刷業者に依頼する際は、注意書きを確認する

印刷業者に印刷を依頼する際は、入稿する際の注意書きをよく確認してください。
今は、安価で質の高い印刷物を作成してくれる業者がたくさんあります。
しかし、その分「できるところまではお客様の方でお願いします」という姿勢の業者もあるのです。
代表的なのが、「RGB」と「CMYK」の変換。
「RGB」というのは、ディスプレイ上で見る色合いのこと、「CMYK」は印刷したときの色合いのことです。
写真やイラストを加工するソフトでは、「RGB画像」を「CMYK画像」に変換することも可能。
印刷業者の中には、「必ずCMYK画像で入稿してください」というところもあります。
つまり、入稿のときに画像の種類を間違えると色合いが全く違うものができあがってくる可能性もあるのです。
ですから、始めて印刷を依頼するという場合は、事前に業者に相談したり入稿の仕方を詳しく聞いたりしましょう。
業者によっては入稿の手順を丁寧にホームページで説明しているところもあります。

7.おわりに

いかがでしたか?
今回はモニターと印刷で色が違う理由や対処法についてご説明しました。
まとめると

  • パソコンやデジタルカメラ、プリンターなどはそれぞれ固有の色がある。
  • 色合いを統一しなければ、違いが出るのは当たり前である。
  • 測定機などを使い、基準を決めて色合いを統一する。
  • 色合いが大切な印刷物は見本を作ってもらったり、打ち合わせをしたりすることも大切。

ということです。
デジタルカメラやパソコンのモニターに映ったものと全く同じものを印刷するのは、実は大変高度な技術になります。